久米島日記1-3

那覇空港の琉球村でサーターアンダギーを仕入れ、僕は那覇市内へ向かうべくモノレール乗り場へと向かった。空港に直結していて、とても便利だ。以前は沖縄には鉄道もモノレールもなく、公共交通機関での移動はバスだけだったということだが、さぞその時代のバスは観光客でごった返していたのではないだろうか。本数も多かったに違いない。モノレールが走るようになり、那覇市内などへの移動は本当に楽になったのだと思う。

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ゆいレール。那覇空港駅。

そんなことを考えながら、モノレールへ乗り込んだ。
今日は那覇市内のゲストハウスで一泊である。車内は観光客の方々で満員だ。

久しぶりの沖縄のモノレール(「ゆいレール」と呼ばれている)に揺られ那覇市内へ向かう。ゆいレールから見る久しぶりの沖縄の街は、沖縄らしい石造りの家々で満たされている。色は白や青などが多く、しかも一色だけで塗り染められている。そのような家々を眺めながら、沖縄に来たのだという実感を得た。本土地域とは違う、沖縄独自の文化。その実感を強く感じた。同時に沖縄の文化の中で暮らすこれからの時間に、期待に胸を膨らませた。

那覇の中心部にモノレールが近づくにつれ、地元の高校生やビジネス関係の方々が多く乗り込んで来た。旅に出た時の楽しみは、このような地元の方々との小さな触れ合いにもある。レンタカーでの移動ではこういった楽しみがない。地元で暮らす方々の息遣い、言葉、雰囲気。そういったことを感じることは旅の本当に大きな醍醐味だ。

僕が降りる駅が近づいて来た。僕が降りる駅は旭橋駅である。那覇市内の本当に賑やかな場所にあり、商業施設や飲食店、図書館などもあったりする。余談だが、ゆいレールの紙の切符にはQRコードが付いており、それをピッと改札の端末にかざして改札を通過する。全国的にみてもとても珍しい方法なのではないかと思う。

今回泊まるゲストハウスは「サンチャゴゲストハウス」。旭橋の駅からは徒歩7〜8分ぐらいの場所にある。改札を抜けた僕は、そのままゲストハウスへは直行せず、やや寄り道をしながら向かうことにした。と言ってもそんなに大きな寄り道ではなく、駅に直結している大きな商業ビルの中を見学しながらといった程度だ。

そのビルには以前来たことがあった。那覇市の図書館も入っているとても便利なビルで、ビルの中にはスターバックスやオシャレな飲食店も入っている。時間帯や駅近ということもあってか、学校帰りの高校生がたくさんいた。ちょっとユニークなカレー屋さんもあり、このあと来ようかとさえ思ってしまった。

そんな寄り道を終え、ビルの外に出た。Google Mapでゲストハウスの位置を調べ、ここからはそこまで直行だ。ゲストハウスへ向かうまでにもおもしろそうなお店がたくさん。久しぶりの那覇の街は、観光気分を刺激する雰囲気で溢れていた。

観光気分を刺激されながら歩いていると、程なくして本日のお宿「サンチャゴゲストハウス」へ到着である。
「おぉ〜、カッコイイではないか!」。それが最初の印象である。とてもスタイリッシュでクールな感じのゲストハウスであった。

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泊まったのは4階のお部屋。葛飾北斎が出迎えてくれた。

チェックインを終え、今日泊まる部屋がある4階へ。まあ部屋と言ってもゲストハウスなので個室ではなく、カプセルホテルをさらに簡単にしたような、ベッドだけがあるような空間である。とはいえとても綺麗で十分に休める空間であり、むしろ秘密基地感がありテンションが上がる空間でもある。

リゾートバイト生活を始めてからは、専らゲストハウスばかりを利用するようになった。それ以前はビジネスホテルも利用することがあったが、今では全くそんなことはなくなった。

基本的に宿では寝るだけになることが大半ということもあるし、何より人との交流があるのが楽しい。さらに近くのスーパーなどで地元の食材を買い自炊することもできるし、その上宿泊費も¥1,000代からと破格の安さ。宿泊費が浮いた分滞在期間を延ばした方が僕にとっては嬉しいことだ。10日泊まっても¥10,000代というのはとても魅力的だ。そんな訳で、今回もゲストハウス利用にした。

今回利用したゲストハウスは、僕が過去に泊まったゲストハウスと比較しても格段に外国人の方の利用が多かった。ほぼ外国人の方々ばかりなのではないかと思うほど日本の人は目にしなかった。那覇という土地柄もあるのかもしれない。那覇空港で買ったサーターアンダギーを食べようと一階の共同スペースに降りた時も、部屋には外国の方ばかりでフランス語が飛び交っていた。ソファにはアジア系の方々が寛いでいる。でも、そんな雰囲気がいい。国籍は違えどみんな旅好きで人生を楽しんでいる、そんな雰囲気がいい。リゾートホテルや高級ホテルも大好きだけど、そんな雰囲気のゲストハウスも大好きだ。次のゲストハウスはどんなところにしよう?そんな風に考えるのも旅の楽しみである。

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今日の「お部屋」



シャワールームへの入り口。外国の方にも喜ばれそう。
秘密基地への入り口。

久米島日記 1-2

僕が乗ったソラシドエアは、14:55定刻通りに那覇空港に降り立った。空は曇っていたが、やはり機内から見る沖縄の海は美しかった。美しい沖縄の海を見ると気持ちが昂る。沖縄の海は、日本のものでもなく、誰のものでもなく、地球のものだ。地球で暮らす全ての生きもののものだ。

2021年9月、西表島から岡山へ帰る時以来の那覇空港である。当時はまだ新型コロナウイルスが猛威を奮っていた頃で、那覇空港にもあまり多くの人はいなかった。
翻って2024年1月の那覇空港は多くの観光客やビジネス利用のお客様で賑わっていた。今や海外から沖縄を訪れて下さる方々も本当に多い。僕はかねてから沖縄はアジアのハワイになるポテンシャルを十分に持っていると思う。アジアで一番のリゾート地となるべく、より積極的な観光振興策や観光客誘致活動を行なって頂きたいものだ。

さて、無事那覇空港に降り立った僕は、空港内のレストランフロアに直行した。那覇空港で沖縄そばを食べるべく、福岡空港では昼食を我慢していたのだ。「1番のスパイスは空腹」ってやつである。どのお店で食べようか、お店の選定作業に移った。まずはおみやげ屋さんがたくさんあるフロアにある、フードコート的なお店をチェック。広いし、何よりも飛行機を眺めながらおそばを食べることが出来る。飛行機好きの僕にとっては何よりのロケーションである。

そんな絶好のロケーションのお店をチェックし、次はたくさんの専門店が並ぶ上階のフロアへ。「琉球村」などが店を構える、飲食店の専門フロアだ。ロイヤルホストなんかもあったりする。ひと通りのお店をチェックし終えた僕は、しばしどのお店にしようか悩みタイムに入る。う〜ん、例によって悩む。有名なお店にしようか、それともロケーションを優先させようか。ひとしきり悩んだ僕は、結局1番最初にチェックした、飛行機の見えるお店で食べることに決めた。解放感があり、大好きな飛行機を見ながら久しぶりの沖縄そばを楽しみたかった。

豚肉の三枚肉が乗ったシンプルな沖縄そば。
まずは定番から。

3年半ぶりに食べる沖縄そばは、シンプルに美味しかった。鰹の出汁がよく効いており、西表島で過ごした沖縄での時間が想い出された。食はそのような効果がある。口にした瞬間、その場所で過ごした時間や出来事が、一瞬で一気に想い出されるのだ。沖縄そばは、沖縄を訪れたすべての人の記憶を想起させる、そんな存在なのかもしれない。

3年半ぶりの沖縄そばを口にした僕は、夜のおやつのサーターアンダギーを琉球村で買い、その足でモノレール乗り場へと向かった。ちなみに、いろんなお店でサーターアンダギーを食べ歩いた結果、今のところ那覇空港の琉球村で販売しているサーターアンダギーが1番美味しい。みなさん、沖縄を訪れた時の参考までに。