『移りゆく季節』

窓から見える木々の葉が、一日一日と色づいていく。季節は確実に移ろいでいるのだ。

私は北国へやってきた。ちょっと前までまるで日本とは思えない南国の島にいたのに、今は風も冷たい北国の湖の畔にいる。9月と言えど、風は冷たく、暖房が必要になる時さえある。

祖父が生前「8月に北海道に仕事で行った時、ストーブを焚いていたのには驚いた」と教えてくれた話を想い出すが、どうやらそれは本当のようである。

聞こえてくる音は湖の優しい波音と風の音、そして木の葉がゆらめく音のみである。それ以外の音は一切聞こえない。

ゆるやかな時間が過ぎている。騒々しい都会の中で過ぎていく時間とは、まるで違う。